底冷えする冬の厳しい寒さは、
私たちが持っている温かいエネルギー(陽気)を抑えこんでしまいます。
もともと冷え性の人には最も過ごしづらい季節といえるでしょう。
さまざまな感染症をはじめ、気分の落ち込みや、消化器系、血管系のトラブルなど注意が必要な季節です。
また中医学では、冬の寒さが「寒邪(かんじゃ)」となって体の中に侵入すると、ギックリ腰や四肢の冷え、関節の痛みなどを引き起こすと考えます。
とはいえ、冬至を境に日照時間は徐々に長くなり、暦の上では大寒を過ぎると、
自然界は確実に春に向けて準備を進めていきます。
中医学に伝わる五行という自然法則では、冬は「腎」、春は「肝」に異常があらわれやすい季節であると考えます。
冬は11月から1月、春は2月から4月とされていますが、2月に最も寒さを感じる人も多いでしょう。
実際に東京における月ごとの平均最低気温は、例年1月と2月のいずれか。
しかし、2月4日の立春が春のはじまりを意味するように、私たちの体も2月には春の芽吹きを感じながら変化していくのです。
冬は「冬眠」という言葉のように、睡眠時間をしっかり確保する時期。
働き過ぎたり無理な活動を控えることが大切です。そうやって、無駄なエネルギー消費を避け、体の中にエネルギーを蓄えることで厳しい寒さを難なく乗り越えることができます。
しかし、春は一転して、草木が成長するように万物が伸びやかに生まれ育つ時期です。
体の中も同様に、新陳代謝が活発になり、温かいエネルギー(陽気)も動き出してきます。
春は頭痛やめまい、しびれに神経痛、筋肉の痙攣といった不調をはじめ、ホルモンバランスの異常やアレルギーをはじめとした皮膚や上気道のトラブル、自律神経症状などさまざまな不調があらわれます。
さらに、毎年3月は月別自殺者数が最も多い「自殺対策月間」。その背景には、卒業や入学、新社会人になるといった環境の変化もあるでしょう。
心も体も大きな変化に適応できなくなってしまうのは想像に難しくありません。
「肝」に異常があらわれれば感情の制御ができなくなり、負の連鎖が生じるのも春の特徴です。
「肝」は西洋医学における肝臓だけを意味するものではありませんが、その働きは限りなく近いものとして考えていいでしょう。
肝臓は生きていくうえで必要な物質を作り出す化学工場です。体に不要なものを分解したり、解毒してくれているのも肝臓です。
沈黙の臓器と言われますが、肝臓の気もちを無視して負担をかけ続けていいわけがありません。
縁の下の力持ちを労わることが、四季を楽しみ、健康の質を高める秘訣なのです。
冬から春にオススメしたい養生法は3つ。
1つめは「心の観察」です。イライラや落ち込みなど、負の感情スパイラルに陥りやすいこの時期こそ、自らの心の動きを観察するのです。
穏やかな心でいられればそれでよし。そうでなければ自分の顔を鏡でみる回数を増やしてみるのも得策です。
ナルシストと言われても気にする必要はありません。
健康第一です。
笑顔で笑えていますか?表情がこわばっていませんか?許せない人がいたりしませんか?
もし、気分がすっきりしなければ、頭とくびのつけねにある風池穴のツボ押しがオススメ。
気持ちを切り替えるリラックスのスイッチを入れてみましょう。
2つ目の養生ポイントは、カラダを動かす強度を少しずつ増やしていくこと。
急に運動量を増やすのではなく少しずつ巡りをよくしていきましょう。
3つ目は、緑黄色野菜を積極的に摂取し、動物性脂肪など肝臓に負担のかかるものはほどほどに控えること。
肋骨下の部分の緊張を普段からほぐすのも肝臓の疲れを回復させてくれる効果的なアプローチです。
日本の春といえば桜。心も体も健やかな状態で桜を満喫したいものですね。そのためにも2月から3月にかけて、特に自らの心と体の声に耳を傾けていくことをオススメします。
◆風池 : ネガティブな感情が続いたら頭とくびのつけねのツボ「風池」を押してみて
◆季肋部 : 肋骨の下をやさしくマッサージ
◆鏡 : 鏡で自分の表情をこまめにチェックしてみましょう
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セラピストカレッジ・ナーチャ
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